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[読みました] 赤めだか

赤めだか

落語家、立川談春の入門~二つ目時代を描いた青春記。

僕が今年読んだ中でもっとも面白く、そして泣けた一冊。

僕は「師匠と弟子」という関係にすごく憧れがあります。

現代では民主的な「先生と生徒」という関係はあっても、前近代的で封建的な「師匠と弟子」という関係を作ることはすごく難しい。

僕にも仕事の上で師匠と思っている人がいますが、それは僕が勝手に思っているだけで「お前は俺の弟子だ」と言われているわけではない。だからいくら僕が尊敬し教えを乞うことがあっても「師匠と弟子」という関係にはなりえないんです。いつまでもツライ片思いの関係なのです。

立川談春はその名から察する通り落語立川流家元「立川談志」の弟子です。

談志自身に「俺より上手いんじゃないか」と言わしめるほどの鬼才ですが、最初から優秀な弟子だったわけでなく、その原動力になったのはやはり当代きっての天才落語家「立川談志」に認められたい、愛されたいという願望が元になっていたようです。

弟子達は多かれ少なかれ、同じように談志に焦がれているわけですから、そこには外から見て分からない愛憎、嫉妬、確執というものが渦巻いているのですね。面白おかしい話をする落語の世界にそんなどろどろした感情があること自体驚きですし、それらを赤裸々に描く談春の度胸にも驚かされます。

この本は立川談春の自叙伝でありますが、また談春から見た立川談志の人物伝という側面もあります。

興味深いのは談春の「師匠」立川談志という側面と、人間国宝柳家小さんの「弟子」である立川談志の両面が描かれていることです。

立川流一門は落語協会に属していません。あろうことか師匠小さんが会長の時代に談志は袂を分かち落語協会を飛び出したんですね。結局小さんが亡くなるまで手打ちになることはなかったのですが、実は和解をする絶好のタイミングがあったのです。

そして亡き師匠小さんに対する談志の想いはいかに・・・というところは是非読後の楽しみに。

談志の金言至言があふれているのも魅力。

「型ができてないものが芝居をすると型無しになる。型がしっかりしたやつがオリジナリティを押し出せば型破りになる。」

「よく芸は盗むものというがあれはウソだ。盗む方にもキャリアが必要なんだ。」

「あのなあ、師匠なんてものは、誉めてやるくらいしか弟子にしてやれることはないのかもしれん、と思うことがあるんだ。」

仕事に対する考え方や部下育成のヒントになるような言葉がたくさん散りばめられています。落語ファンに限らず超おすすめの一冊です。

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コメント

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