「バトルロワイヤル」というタイトルとは裏腹に爆笑問題の太田光と肺がんを専門とする呼吸器系外科医(帯には「禁煙医師」と書いてあるが、本人は「禁煙外来は苦手」と本著の中で告白している)奥仲哲弥との1:1の対談。
NHKで「爆笑問題のニッポンの教養」という番組があるが、あんな感じ。
僕は「太田光」という人の芸風はあまり好きではない。
世の中に対して斜に構えて屁理屈をこねる。これを傍から「また言ってるよ、しょうがないなあw」という風に見れるにはやはり演者にそれ相応の貫禄が必要だと思う。それが足りないんだよね。
この本の中でもそうだ。
太田の理屈は、喫煙者の理屈として確かにそうなんだけど非喫煙者が笑いながら聞けるほどウィットに富んで面白いものではない。
でも、だからこそ対談相手の奥仲氏の姿勢が生きるんだよなあ。
僕もタバコをやめる前は、いわゆるファシズム的な世の禁煙圧力に辟易していた。禁煙を始める時も喫煙者の気持ちも尊重しようと思っていた。
いざ禁煙を始めると他人の煙に顔をしかめ、タバコを吸うやつなんてダメだと言わんばかりの立ち位置になってしまっている。
これもまた仕方ないと思う。
禁煙開始して半年やそこらでは喫煙者に戻ろうとするテンションは非常に高い。
タバコや喫煙行為を完全否定しないと心の均衡がとれないんだ。
その点、奥仲氏の立ち位置は非常にバランスが良い。
禁煙を勧める医師でありながら、過激な禁煙世論とは一線を引き冷静にタバコの害と、喫煙者本人がそれを理解した上でのタバコとの付き合い方について説いている。
この本は禁煙を手助けするためのノウハウ本でもなく喫煙者を擁護するための本でもない。喫煙習慣の崩壊をどうやってソフトランディングさせるかを考えるためのたたき台と考えるのがいいかもしれない。
- 執筆者: a-ki
- 最終更新日: 2020/01/02
コメント
作者です。作者の意図を読み取っていただき心から嬉しく思います。2兆3000億円もの税金を払っているのだからもっと真剣にタバコを吸うことを議論したいというのが趣旨です。やめろ、やめろと言われてやめる人はあまりいないでしょう。すばらしいコメントありがとうございました。