「素人でもできる! たった20記事のミニサイトで月10万アクセスを集める方法(中島茂夫/著)」のブックレビューです。
2016年後半よりブロガー、アフィリエイターの間で未だブームが続いている「ミニサイト」。きっかけとなったのは和田亜希子氏の著書「ミニサイトをつくって儲ける法」です。
以来後続となる本がなかなか出てきませんでしたが、実に1年半ぶりに中島茂夫氏によってミニサイトに関する著書が出版されましたので早速購読してみました。
結論から言いますと、先の和田さんが著されたミニサイト本とはまったく視点の異なるものでした。
僕自身の「ミニサイト」に対する認識は「簡易な情報サイトの一種で完成形が想定されるもの」であり、どちらかと言うと和田さん寄りです。
ミニサイトとはそういうものと思っていたので多少違和感がありましたが、「そもそもミニサイトの定義など無い」ということを念頭に置きつつ、和田さんのミニサイト本との違いを比較しながら感想を書いてみたいと思います。
ミニサイトに対する認識の違い
本書の著者によるミニサイトの定義は、端的に「ストック型コンテンツで作られる」サイト。
ストック型コンテンツというのは、陳腐化しにくいコンテンツの記事のみで構成されているものであり記事の内容で集客すると述べられています。
さらに読み進めると「トップページには集客しない」など、サイト内でのユーザーの巡回に対してはあまり重要視していないことがわかります。
先の和田さんのおっしゃるミニサイトの特長には次のような部分があります。
初めて訪れた人にとって「どんな内容のコンテンツか一目瞭然」「必要な情報に迷わず行ける」そんなレイアウト・誘導を目指した構成が一般的です。
ユーザーの疑問や求める情報をサイト全体で解決することを重視していますね。
ここで想定されるミニサイトの構造は「完結型」です。
それに対して、本書でいうミニサイトの正体は「ストック情報で構成された(いつ更新を止めても成立する)テーマ特化ブログ」であります。
実際著者の運営するサイト「マイルの達人」は着実に記事数を増やし続けていますし、完成形が想定されているわけではなさそうです。
もちろん完結型であろうがブログ型であろうが、数十ページ程度の規模で更新しなくても成立するのであればミニサイトと呼んで差しさわりありません。
ただし、ブログ型のサイトには「論理的な構造が作りにくくユーザーにとって必要な情報が見つけにくい」というデメリットがあります。
本書ではミニサイトのメリットを「手をかけずに集客できること」のみにフォーカスしていて、ユーザビリティーをサイト全体で実現するという方向には向いていないのだろうと感じました。
逆に和田さんは和田さんで「陳腐化しない情報か、比較的寿命の短い情報か」にはあまり頓着されておらず「寿命の短いサイトでも制作工数が少なければそれもまた良し」と考えられているフシもあります。
同じようにミニサイトと表現するものでも運営姿勢によって真逆とも思える違いがあり面白いものです。
ページ単位の記事の作り方は具体的
本書のめざすミニサイトが厳密には「放置可能なブログ」の形態であるため、サイト制作についての解説は「記事の作り方」が中心になっています。
和田さんの著書では「企画」「コンセプト」の策定に重点が置かれていますが、本書ではリサーチの方法にはじまりSEOを意識した「ページ単位で集客できる記事の作成方法」に関して出し惜しみ無く多くのページが割かれています。
これはサイトの目的を「ユーザーへの情報提供」に置くか「マネタイズを重点」に置くかの違いでもあり、これもまた興味深い部分です。
ただ、SEOを意識した手法というのは細かく解説すればするほど小手先感が強くなり、検索エンジンのアルゴリズムの揺れに弱くなってしまうのが悩ましいところ。
そのサービス精神ゆえ本書の賞味期限が短くなるのではと懸念が残ります。
集客についてはSEOだけでなくFacebook広告についても触れられておりその考え方は大変勉強になりました。
マネタイズの点は一読に値するかも
マネタイズについてもかなり具体的に書いてあります。
ただ、一般的に考えられるアフィリエイトやアドセンスなどのサイト内で完結する広告収入ではありません。
ミニサイトはあくまで集客の窓口(フロントエンド)と考え、メルマガへの誘導やリスト取りをバックエンドとした手法です。
好き嫌い、向き不向きはあると思いますが、知っておいて損はないでしょう。
僕自身、あまり触れたことのない方法なので興味深く読めました。(たぶんやりませんが)
まとめ
和田さんの本を読んでさらに具体的にミニサイトや情報サイトの世界観を探求しようとしている人には、正直なところちょっと期待はずれかもしれません。
個人のサイト運営は日記形式の「ブログ」ばかりではなく、また同じミニサイトと表現する形態にも様々な手法があります。
マネタイズの方法も広告ばかりではないことを知るには良いきっかけになるかもしれません。
それぞれに「ミニサイト」の定義が違うことを念頭に読み比べるとさらに面白いかもしれませんよ。
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- 執筆者: a-ki
- 最終更新日: 2022/05/08