談春の「赤めだか」、志らくの「雨ン中の、らくだ」と読みすすめると、やっぱり師匠である談志の若い頃も知りたくなる。
「赤めだか」の初版が2008年4月20日、この「人生、成り行き」が5月20日。まんまと策略に引っかかったようで悔しいですが、やっぱり読んじゃいました。
談志本人が語る、少年期から前座時代、参議院議員を経て現在に至るまでの一代記。
談志ファンなら何度か聞いたエピソードもあるだろうけど、本人の口述で文章としてまとまるのは非常に貴重なことだと思います。
例えば、志ん朝とのエピソード。
古今亭志ん朝が、父志ん生の死を機会に入門からわずか5年で真打昇進を決めたとき、談志は後輩に抜かれる悔しさから志ん朝本人に「真打を辞退しろ」とせまったとか。
それでも談志は志ん朝の上手さは認めていて、いやもしかしたらたった一人のライバルと思っていた節もある。談志・談春親子会のDVDの中で「代演用意しといたほうがいいかもしれない・・・おい、志ん朝はどうした!」ってやってましたからね。自分の代わりがつとまるのは志ん朝くらいだと思っているのでしょうか。
例えば議員時代のエピソード。
立候補したのは「タレント議員がブームだったから」なんだとか。
「ブームに乗らないやつは芸人失格だ」と言い切っています。
沖縄開発庁政務次官に任命されて、視察先でひどい二日酔いのまま記者会見に臨んで大バッシングを受けます。「酒と公務とどっちが大事なんですか!」と記者に問いただされ「酒だバカヤロー!!」と答えてわずか36日で辞任することになるのですが。。。
そういえば記者会見で酩酊状態だったのは風邪薬のせいといった財務大臣がいましたが、エライ違いです(笑)
他にも、あまり聞いたことの無い奥さん(則子夫人)とのエピソードや師匠小さんとのことなど。胸にジーンと来る話もいっぱい。
最後に弟子である志の輔の落語を分析し褒め称えるあたり、なにやら人生の締めくくりに入って遺言を残してるようなそんな風にも読み取れます。
なんにしても読み応えあり!です。
- 執筆者: a-ki
- 最終更新日: 2020/01/08